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9.怒りの松明

  • 執筆者の写真: Bio Sinfonia
    Bio Sinfonia
  • 2012年10月6日
  • 読了時間: 7分

更新日:9月23日


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あなたがもし、抑えようのない怒りに苛まれたとしたら・・?


そのとき、どうするでしょうか?

落ち着こうとはするものの、依然として込み上げてくる怒りによって、どこかいつもの自分でなくなり、物事が手に付かなくなってくるかも知れません。

「どうしてやろうか」 と思うことでしょう。

それは、「自分の中の怒りのエネルギーをどう処理しよう?」という意味かもしれませんし、「自分をここまで怒らせた相手をどうしてやろう?」という意味でもあるかもしれません。

そんな時は、怒りを抑圧せず、放置せず、怒りに賢く対処してください。


怒りは風のようにフッとやってきて、そっと去っていくものではありません。

怒りは対処されるのを待っています。


けれども、あなたという存在の主導権を、怒りに明け渡してしまうことだけは、避けなければなりません。

第一に、「怒り」とはあなたに大切なことを教えてくれる重要なエネルギーなのだ、ということを覚えておいてください。

怒りは、「あなたが何を強く大切にしているのか?」、あるいは「何を強く守りたがっているのか?」について、より一層、明確に教えてくれています。


怒りの奥にある、あなたが最も大切にしているものを、見つけてあげてください。



怒りは、それを見つける手がかりです。そのために怒りはやってきます。

けれども、そんな怒りの奥にあるものを見ようとせず、あなたが怒りのベクトルを特定の他人に対して向け続けてしまうとき、残念ながらあなたは何も見えなくなります。

そんな時のあなたは、自分を怒らせた相手‥それを発したあまりにもインパクトの強い相手に目がくらみ、『自分の心の窓』に映る「自分」を見失ってしまいます。

あなたの心の窓に映るのは「自分自身」ではなく、怒りを誘発させた“その人”しか映らなくなってしまいます。

しかし、怒りは他者を燃やすためにあるものではないということを、忘れないでいてください。


怒りは、本来の使い方をされないとき、狂気のようにも成り得ます。それが怒りの危険な点です。使い方を誤ってはいけないのは「火」と同様です。

なぜなら、怒りから派生したエネルギーは、何かを理不尽なまでに破壊し、何かを強引にも成し得る強いエネルギーすら持っているからです。

時に、自分や他人の命さえも奪ってしまえるほどの、強い強いエネルギーです。


「自分の命を殺す」という行為は、深い絶望感や無力感のさらに奥深くに、そんなマグマのようなエネルギーが隠されているからこそ、成し得てしまうものです。


自殺に追い込まれてしまった人は、他人を殺したくてもできないからこそ、「己を殺す」ことによって、それを実現します。他者を殺すことなく願いを叶える唯一の方法が、自己を殺すことです。それにより、その人の世界では、自分を含めた全ての人が死ぬことができます。

それほどまでに大それたことを成し得る強大なエネルギーが、その人の奥深くで、くすぶっていたということです。


エネルギーがカラカラに枯渇し、無気力に疲れ果てた人間には、自他もろとも命を殺すことなど到底できないものです。

この世界では、誰かが自殺に追い込まれるたびに、わたしたちもまた意識の上では何度も殺され続けています。これは、この世界に渦巻く最も大きな悲しみの一つではないでしょうか。

これほどまでに大切な「怒りの対処法」について、誰かがきちんと教えてくれたことがあるでしょうか?

もちろん、学校で習う事はありません。親御さんが教えてくれたことも、なかったかも知れません。

なぜなら大人たちも、どうしていいか分からないからです。

「ストレス発散」と言って、エネルギーをかき回しながら真実までもかき回してしまうことくらいしか、わたしたちは具体的な対処法を知らないのかもしれません。

だからこそ、あなたから初めてください。

「あなたの怒り」に対処できるのは、「あなただけ」です。

どうしようもない怒りの奥に、とても大切な「あなた自身の断片」が見つかるはずです。

それを見ようとすると、怒りの奥から、深い悲しみが込み上げてくるかもしれません。

そんな時は、悲しみを味わい尽くして、涙と共に流してあげてください。

悲しみもまた、あなたに見つけてもらえるのを待っていました。安心してしっかり悲しみ、それらを『体験し終えて』ください。

そして、悲しみを手におさめることができたなら、次は手放すときです。

悲しみとあなたは、運命共同体ではありません。


悲しみは、蝶のように去っていきます。カゴの中につかまえておく必要はありません。

そして、あなたが『最も大切にしているもの』、あるいは『最も守りたかったもの』を、見つけてあげてください。

怒りが湧くということは、悲しみがあるということは、あなたがその大切なものを、もっともっと大切にしていいのですよ、というサインです。

もっと意識的に、意図的に、実践的に、大切にしてあげてください。

一生懸命やっているあなたは、一生懸命やっていることを他人にバカにされたとき、悔しくて、悲しくて、怒りが込み上げてくるはずです。


そうしたならば、それは「一生懸命なあなた」を、あなた自身でもっと意図的に大切にし、自ら正当に評価し、たくさん愛してあげればいいんですよというサインです。


それを実践してくださいね、というサインです。


「自分は、一生懸命な自分が大好きなのだ」という自覚を、あなたの中で大切にしてあげてください。

家族を大切に思っている人が、他人から家族をけなされてカッとなったどき、それはあなたがもっと意識的に家族を大切にすればいいのですよ、というサインです。


心の底で家族は大切だと感じていながらも、思う存分大切にはできていないとき、あるいは素直にその気持ちを表現できていないとき、家族を悪く言われると怒りが込み上げてきます。


それは、あなたがもっと意識的に、実践的に、家族への愛をストレートに表現すればいいんですよ、というサインです。


あなたの中の大きな愛を認めてあげてください。自分の中で愛情を示すことに遠慮はいりません。

ゲームをしながらも、「今から勉強しようかなぁ~」と心秘かに思っていた子供が、お母さんに「そろそろ勉強しなさいよ」と言われた途端に、言いようのない怒りが込みあげて来て、「勉強なんかしてやるかバカヤロー!」と叫びたくなる気持ちを知っているでしょう。


その子は本当は、自分の中の「勉強したい気持ち」を、大切にしたかったのです。自分の中に芽生えた気持ちを、自分の力で大切に育ててみたかったのです。

その「新しく芽生えた大切なもの」を、いきなり台無しにされたような気がして、どうやって大切にしたらいいか分からなくなり、子どもは混乱してしまうのです。なんとも自然なことではないでしょうか。

もしも、あなたの目の前で子どもさんが怒ったなら、その子が一体「何をそんなに大切に思っているのか?」「何を守りたがっているのか?」について、大人の皆さんは目を向けてあげてください。


そして、できることなら一緒に探してあげてください。


少々、むずかしいかも知れません。なぜなら、子どもはまだ「それを表現する方法」に、長けてはいないからです。

けれども、それを一緒に感じてあげることができたとき、あなた自身もまた、子どもの怒りから、他人の怒りから、何か大切なことを学ぶはずです。

どうぞ【怒りという薪】を使って、あなたの『大切なもの』を存分に大切にするための、エネルギーを得てください。

怒りは、原点に返ってあなたの情熱に火をつけるための、一番最初の“着火剤”になり得ます。


それは、あなた自身をあたため、あなた自身の力で行動を起こすエネルギーをくれる、大浄化・大前進のための炎となるでしょう。

あなたの深いところで冷めて動かなくなっていた心や、麻痺していた感覚に、再び火をつけて揺さぶりをかけてくれる起爆剤、それが【怒り】なのです。

どこかで迷子になっていた、あなたの大切な宝物を発掘するために、突然やって来る招かれざる客―‥そんなあなたの純粋な怒りに、勇敢にお付き合いしてあげてください。

それは、あなたの覚醒大冒険の道のりを照らす、松明となるでしょう。

 
 

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