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4.安堵と焦燥

  • 執筆者の写真: Bio Sinfonia
    Bio Sinfonia
  • 2012年10月9日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年9月23日



『今』ではない、別のどこかに行こうとする時、あなたの心は迷子になります。

その瞬間から、「安心を忘れた状態」、つまり不安げな状態に成ることができます。

どこからともなく、焦りの感覚が湧きあがって来るとき、あなたは「このままではいけない」と思うかも知れません。


「何かしなければ‥」「今のままではまずいかも‥」という焦燥感の到来です。

そんなとき、そのような焦燥感をすこしでも慰めてくれるのが、あなたに向けられる「他人の反応」です。

自分以外の誰かに評価されたとき、受け入れられたとき、役に立てたと感じられるとき、そんなとき、あなたの焦燥感は少しばかり安堵します。

しかし、しばらくすると、またどこからか焦燥感がやってきて、あなたの胸にそっと忍び込んでささやきます。

「あなたは何をやっているの?」と。

焦燥感は、常に「自分が何をやっている人か?」について、問いかけてきます。

そして、別に何もやっていない、大したことなどしていない、大したモノなど持っていない自分を見つけると、焦燥感は「ここが自分の居場所だ」とばかりに、あなたの一挙手一投足に、ピッタリとくっついて回ることでしょう。

そんな時のあなたは、何かをやろうとし、時間を埋めようとし、どこかへ行こうとするかも知れません。

そして、「何かをした」という実態を証明として残そうとし、安堵を呼び戻そうとするかも知れません。

幸いにも、そんな記録・証明媒体は、あなたの強い「実感」が欠けているところを上手に補足し、形作ってくれます。

それであっても、安堵はいつだって自分の内側に骨をうずめてくれることはなく、またいつの間にか去っていきます。



なんとも、つかみどころがない存在です。

どうしてでしょうか?

はっきり言って、安堵は「あなたが何をしている人か?」について、まったく興味がありません。あなたのすることを見守りはするものの、その事に対して、評価を下すことはありません。


安堵は、あなたという【存在】が、「あなたが何をしている人か?」によって、左右されるものではないことを知っているからです。


安堵は本来、あなたの【存在】にピッタリとくっついたまま、離れることなどあり得ません。



あなたの心がどこかに行ってしまった時、安堵はそこにじっと留まり、あなたの心の帰りを、ただ待っています。

あなたの心が、『今ここ』にいる時、安堵はいつも、あなたと一体なのです。

しかし、そうは言っても、です。



あなたは、『今ここ』という意味が、本当にお分かりでしょうか?

『あなたの今』――‥とは、

あなたが今立っている、そこのところ‥

あなたが今座っている、そこのところ‥

のことではありません。

あなたが今、置かれている立場や状況、

あなたが今、所属している会社や何か、

あなたが今、目にしている環境や景色・・

のことでもありません。

『あなたの今』とは、【あなたの心の実感】のことです。

あなたが、ふと誰かから、何らかの言葉を言われたとしましょう。

すると、あなたは、「それについて自分の心が何を感じたか?」を実感するより早く、「相手になんと言葉を返そうか?」と反射的に考え始めるのではないですか?

こうなると、あなたの『今』は、そこで抜け落ちてしまいます。

あなたに何かが起こった際に、【それによって自分の心が何を感じたのか?】を実感するより早く、「それをどうするのか?」「それについて何をするのか?しないのか?」について、意識が忙しくなってしまうことはありませんか?


そんなとき、あなたは『今』を置き去りにして、どこかに飛んで行ってしまうことになります。

どうか、あなたの【今に対する実感】と共にいてください。

その実感覚こそが、あなたを『今』という大船に乗せたまま、『次なるあなたの今』へと、【あなた全体】を欠かすことなく悠々と運んでいってくれるのです。

けれども、ここでひとつ湧き上がってくるのは、「今を感じて過ごすってことは、過去のことは考えない方がいいの?」という疑問かも知れません。

あなたが過去の事を思っている時、必ずしも今を生きていないわけではありません。

あなたが、かつて過去に置き去りにした【実感】を、『今ここ』ですくい上げ、発見し、感じることができたならば、あなたはそのとき、過去というチャンネルの『今』を力強く生きることになるでしょう。

この点が「惰性で過去を回想すること」と、『意図的に過去に命を吹き込むこと』の違いです。

あなた自身が、あなたの持つチャンネルに【実感覚】という命を吹き込んだ瞬間、そこには「力」が発生し、必要な「学び」と「癒し」をもたらします。

なぜなら、それは『あなたの今』 になるからです。

あなたは、『あなたの今』に対して、常に主導権を持っている存在です。

だからこそ、『あなたの今』を実感していてください。

それは、あなたの【力】そのものです。

あなたがちょっと、不安なとき、ソワソワするとき、やきもきするとき、落ち着かないとき―‥、あなたの「力」である【実感】を、今この瞬間に呼び戻してみてください。

それでも、やっぱり、


「どのように『今』を感じていいか、よく分からない‥」


というのであれば、どうぞ【今この瞬間の自分の呼吸】を意識してみてください。

ひと呼吸・ひと呼吸を、ゆっくりと、しっかりと、味わってみてください。

あなたが息を止めようとして、もがいてみても、呼吸を拒否して口をつぐもうとも、しばらくすると、それは勝手に、あなたの中に入ってきます。

食事の仕方を知らない赤子に対して、お母さんがスプーンでそっと口に運んでくれるように‥やさしく、さりげなく・・

これが、【無償の愛】であることを、ご存じでしたか?

それは、ただの一度も、あなたを見放したりなど、裏切ったりなど、したことがありません。

あなたがどんなに厳しい状況に置かれようとも、たった一人で孤独に苛まれようとも、あなたには、いつもこの【無償の愛】が注がれていたことを、ご存じでしたか?

その証拠に、あなたは今も、ここにこうして生きています。

今この瞬間も、生き続けております。

あなたの安堵は、あなたの内側を途切れることなく流れ続けています。



この途切れることのない流れこそが、【あなたという命への祝福】であることを、いつもいつでも、思い出してください。


 
 

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この読み物は、2012年の秋に書き下ろされたものです。当時はタイトルを「少数派のための解脱道」として、旧ウェブサイトの方にアップしていました。

 

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