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7.正直に生きる


たやすいことのように見えて、実は大変難しい在り方のひとつに 『正直に生きる』ということがあります。

あなたは今、どれほど“自分自身”に対して、正直に生きているでしょうか?

これは「誰かを騙したり、人に嘘をついたりしない」という、表面的で生易しい話をしているのではありません。

『あなたが自分自身に対して、真に正直であるか?』

というポイントは、あなたのこの地球での生命体験の質を、根底から揺るがすものです。

正直に生きる、というシンプルな事が「たやすく見えて、実はむずかしい」というのは、そこに落とし穴があるからです。

それは、「自分が自分に正直になれていない」ことに気付いていないために、“嘘をついている自覚がない”という落とし穴です。

自分自身にすっかり騙されている時、あなたは『正直に生きる』という事の意味が、どことなくつかみどころがない感じがするでしょう。

そんな時は、まずは自分自身にかかっている“トリック”を暴くことから始めましょう。

朝一番、目が覚めたとき、

まどろむ意識の中でこう呟いてみてください。

「私は今日、自分自身に対して、絶対に嘘はつかないぞ」

と。


朝一番の、自分に対する誓いの言葉です。

そして、あなたの一日が始まります。

すると間もなく、この呟きを覚えているあなたならば、自分と交わしたこの誓いを守ることが如何にレベルの高いことであったかを痛感されるはずです。

自分自身に対する内なる覚醒度が高まれば高まるほど、自分が自分の心についているに些細な嘘に、ハッキリと気が付くようになります。

仕事をしている時も、仲間や友人と一緒にいる時も、恋人やパートナーと一緒にいる時も、親や子供と一緒にいる時も・・・


自分の「本当の気持ち」に対する、ほんの些細な欺きの瞬間に、ハッと気付くようになるでしょう。「これは私の本心じゃない」―・・と。

そして、そんな自分自身の欺きに気づき始めたあなたは、自分の口から瞬間的に出てくる洗練された取り繕いの嘘の言葉に、自ら驚かれるかも知れません。

反射的な愛想笑いに、ささやかなおべっかに、習慣的な同意のあいづちに‥と、ありとあらゆるところに顔を出す「欺き」の断片の数々に、自ら感心してしまうかも知れません。

他人に対して正直にあろうと心がけている誠実なあなたが、もしかしたら自分自身に対しては、まさかの大ウソつきであったかも知れないのです。

けれども、そんな時こそ自分を嘆く時ではありません。

あなたが、あなた自身に回帰する瞬間です。

表が裏になり、ねじれがねじれを生んでいたのは「自分が自分に正直でなかった」、そんな単純な初期設定に由来していたのです。すべてを複雑にしてしまう、シンプルかつ巧妙なトリックです。

ここで再びあなたは、自分自身の「ありのままの心」にフォーカスすることが出来ます。

欺くあなたを見つけたなら、今度はその奥に隠れていた“正直なあなた”を見つけてあげることが出来ます。

本当はこうしたかったんだ、本当はこう思っているんだ、本当はこう言いたいんだ‥という、“あなたの本心”です。

理性によって手直しされる前の、ありのままの自分を見つけてあげてください。

そんな正直な自分を見つけるためには、まず大前提として、あなたはどんな自分も肯定する必要があります。

「こんな風に感じるなんて、いけないから・・」

「そんな風に思うなんて、よくないことだから・・」

などと思う必要はありません。“思ってはいけない事”など存在しません。

自分の人生を生きるためには「自分が思い、感じている事のすべて」を、あなた自身が一番最初に発見し、肯定してあげる必要があります。

あなたには『全ての感情』が存在します。

そのことを、自分に許してあげてください。

あなたの中に生まれいでる、ありとあらゆる感情たちは、存在を肯定されるのを待っています。

やがて、どんな感情の存在をも肯定することに慣れて来たならば、ぜひそれらを気楽に歓迎してあげてください。

どんな感情であっても、どんな感じ方であっても。

あなたの『感受性』を完全肯定し、あなたの「欺き」と「正直さ」を発掘することが出来たら、次はその両者の間にある"ギャップ"を見つめてください。

正直さを妨げていたもの、欺きを後押ししていたもの、それは一体なんなのでしょうか?

欺くあなたも、正直なあなたも、どちらもまぎれもなくあなた自身です。どちらかが「偽者の自分」というわけではありません。

そして、真っ正直なありのままのあなたと、なんらかの取り繕いを行ったあなたとの、“間にあるもの”を見てみてください。

何が一体、あなたを「正直でいさせなくさせる」のでしょうか?

そこには「恐れ」が潜んでいるはずです。

あなたが恐れている何かです。

人に嫌われたくない、

何かを失いたくない、

傷つきたくない、

傷つけたくない、

いい人間でいなければ…

正しい人間でいなければ‥

といった、何かしらのあなたの願いにも似た「恐れ」が顔を出してくることでしょう。

正直になる事で、そんなあなたの中に隠れていた「恐れ」と、初めて出会うことができます。

そんな恐れと出会ったあなたは、自分自身の“歴史”と“成り立ち”について、また一段と理解を深め、あなた自身を救う術を見つけ出すことが出来ます。

あなたが発掘した自分自身の“嘘”と“正直さ”は、あなたの子供時代に「周囲にどんな大人が存在していたか?」を教えてくれる手がかりです。

すべての子供は、食事や睡眠を与えられるのと同じように、「愛されている実感」を与えられる必要がありました。あなたもまた、人であるならばそうです。

人の基本的な生存本能が、「安心・安全」を求めるのです。

そんな「安心・安全」とは、子供にとって“周囲から注がれる愛情”に他なりません。「ちゃんと愛されている」という実感こそが、本能欲求を満たしてくれます。

だからこそ人は、何を犠牲にしてでも“愛らしきもの”を得るためなら、無意識のうちに必死になることが出来ます。

あなたの中の“子ども”の衝動が、そうさせるのです。

人は、大人になっても依然、子どものままです。

あなたの中の“子ども”を、失うことは出来ません。

大人のあなたの中に、“子どものあなた”が含まれています。

おじいちゃん、おばあちゃんへと成熟したあなたの中に、子どものあなたが含まれています。

どうかいつまでも、“子どものあなた”を失うことなく、大切にしていてください。

そして、そんな安全を求める本能、“愛されている実感”を得るために、あなたはもうこれ以上、『正直な自分』を隠す必要はありません。

なぜなら、今この瞬間のあなたにとって、一番頼れる大人が、『あなた自身』だからです。

今やあなたは、

あなたの父であり、

あなたの母なのです。

あなたが、あなたを愛することが出来ます。

あなたが、あなたを育てることが出来ます。

「しかし、こんな複雑な世の中で・・正直に生きるなんて、・・そんなことが出来るのだろうか?」

などと不安に思う必要はありません。

ただ、やってみればいいのです。


騙されたと思って、まずは朝の誓いから始めてみてください。

安心していただいて大丈夫です。もうすでに、われわれ人間は、どこもかしこも十分騙されているのですから、思い切ってあと一つや二つ騙されてみたとしても、何も問題はありません。

「今日私は、自分に対して、絶対に嘘はつかないぞ。

たとえ他人に嘘をついたとしても。」

と。

目覚めの道を歩み始めたあなたなら、きっとこのプロセスの醍醐味を解って頂けるはずです。

そして、「ただ正直になってみた」というだけで、あなたの願った通りの現実が、どれほど転がり込んで来ることでしょうか。

ただただ素直に、あなたの「嘘」と「正直さ」の発掘から、始めてみてください。

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