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1.満ちている世界

  • 執筆者の写真: Bio Sinfonia
    Bio Sinfonia
  • 2012年10月10日
  • 読了時間: 5分

更新日:9月23日


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鳥が木の実をついばみに来ています。

食事の時間になると、木々に集まり、お腹がいっぱいになると、飛び立っていきます。

鳥たちは、袋の中に食べ物を詰め込んで「自分の分」を持ち歩いたりしません。それらは、欲しい時に自由に与えられるものだと知っているからです。

この星には、まだまだ自然界という大きな懐に、こうした豊かな秩序が生き生きと息づいています。

満ちているものを、自由に与えあう世界です。

わたしたちの概念は、動物たちが食うか食われるかの厳しい状況にあるとき、「生存競争のため命をかけて戦っている」と言いたくなるのではありませんか?

しかし、これも「命をかけて与え合っている」と言うことができます。

わたしたちの頭は、自分が持っている価値観の中でのみ、物事を図り表現するようにできています。

ご存じの通り、人間界のフィールドでは「与え合う」ことよりも「奪い合う」ことで、世界が成り立っています。

そして、このような「奪い合う世界」を強固に支えているものとは、そのことを信じて疑わない、わたしたち一人一人の意思や態度なのです。

わたしたちは今、「あまりに多くを持ちすぎている」という事態に対して、まだまだ自覚がありません。

目に見えるモノであれ、目に見えないモノであれ、わたしたちが何かを新しく持とうとする際、同時に「それを失う恐れを持つ」という習慣を身につけてしまいました。

持っていない恐れから、より多くのものを持ちたいと願いますが、持ったら持ったで、「手に入れたモノを失う恐れ」が比例して増えていきます。

「何かを持つ」ことによって「さらに持っていない部分を発見する」という、穴埋めゲームのような現象が起こり続けています。

このとどまることを知らない欠乏感こそが、この星を「物質の海」へと仕立て上げています。

一人の人間が、使っても使っても、捨てても捨てても、まだまだあり余るほどの、モノ・モノ・モノ・モノ・・・が、この星にはあふれ返っています。

それなのに、「家がない、食べ物がない、〇〇がない」‥と実際的に足りていない人々は、いつまで経っても足りない状況から抜け出すことができません。



その理由は、この世界が 「奪うこと」によって成り立つシステムで営まれているからです。

そして、これは「物質」だけの話ではありません。

わたしたちは人間関係を築きながらも、お互いのエネルギーをしょっちゅう奪い合うので、知らないうちにどっと疲れてしまうような現象が起こります。

「食うか食われるか?」の現象が、エネルギーレベルでも起こっているのです。

エゴはいつも不安です。

いくら満たしてもどこか満たされず、確かな手ごたえを欲しがります。


形や証明が大好きです。


他人からの評価や賛美などの「非物質的なもの」なら、なおさら、その証としての手ごたえをしっかり感じていたいと願うものです。

そんな切なる願いから、今この瞬間も様々なシーンでエネルギーの奪い合いが起こっています。

人からの羨望や同情を勝ち取ることができたら、それがエゴの生きる糧となり、さらなるエゴを肥え太らせることもあるでしょう。

そして最終的には、勝ち取ったエネルギーを奪われないようにと、さらなる「執着」が生まれていきます。

それが、わたしたち人類が長い年月をかけて育て上げてきた、エゴのひとつの特性です。

ですから、そんな自分の一面に出会ったとしても、もう決して自分を責めることはしないでください。


ただただ、あなたはそのことに、深く気づいてあげてください。

そして、このことに秘かに気づかれたあなたは、このような世界でこれからも生きていきたいと、本当にお思いでしょうか?

与え合う世界は、その創り手であるあなたが「そう在ろう」と決めた瞬間から、ゆっくりと姿を現しはじめます。

この世界は、ある一定量の人間が、与え合う世界へと意識をシフトしたその時、数の原理によって大きな秩序の変容が起こり得るようになっています。

とはいえ、そんないつ来るか分からない社会の大変容を待ちわびること自体が、もはやナンセンスです。

戦いの土俵を下り、戦う相手がいなくなり、最後の一人になったとき、あなたはその相手が最も手ごわい存在であったことを思い知るでしょう。

その相手こそが、自分自身です。

あなたはその人生をかけて、【自分自身】に、真の豊かさ・真の平安を教え込むことができます。

これこそが、どんな物質でも埋めることのできなかった内なるブラックホールを、満ちているものでいっぱいの器へと反転させる、唯一の方法です。

あなたの意識が、「足りないモノを常に見せてくる外側」から、【満ちているものでいっぱいの内側】へとピントを戻すことができるようになったとき、あなたは初めて「自分に欠乏しているものが本当は何だったのか?」を自覚し始めることになります。


そして、あなたは気付かれるはずです。


自分はもうすでに、眩しいほどの十分なものを持っていたのだということを。


ただ一つ‥、


「私は持っているのだ」という生き生きとした【実感】を除いては。


あなたの欠乏感を作り出しているものとは、自分が持っているものに対する無感覚、「実感の欠如」に他なりません。

あなたが、たった一つだけ、手に入れなければならないものがあるとしたら、それはあなたの【実感】です。

途切れることのない「豊かさの源泉」とは、それを発見し続けることができる、あなた自身の生き生きとした【実感覚】にあるのです。

豊かな世界とは、そこにある全てを感じていられる「あなたの心の在りよう」のことです。

そして、あなた自身が「自分一人」を内側から満たすことができたとき、あなたはこの星の真の豊かさに貢献し始めることになるでしょう。

至福に満ちた人生が、いつもいつでも、「あなたの内側」から展開されていくことになるのです。

あらゆるものを持っているのに「常に足りない意識」の世界から、



「持っている実感」に満ちた、豊かな意識の世界へと―‥



あなたの目覚めた意識が、新しい世界の入り口です。





 
 

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「命の覚醒」について

この読み物は、2012年の秋に書き下ろされたものです。当時はタイトルを「少数派のための解脱道」として、旧ウェブサイトの方にアップしていました。

 

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