11.疲労感
現代人は、疲れている方が多いようです。
心も体もです。
自分にとっての「大切な事」に誠実なあなたであっても、自分にとっての「ワクワクすること」に敏感なあなたであっても、疲労感というのは、ふとした時に、ワッと押し寄せてくるものではないでしょうか?
そんな疲労感とは、どこか切っても切れない腐れ縁が続いていらっしゃる方も多いのかも知れません。
疲労感が押し寄せてきた時の特徴として、あなたは少々こんがらがった状態であると言えます。
たとえ大した問題など抱えていなくとも、ほんの小さなストレスが積み重なって交差し、更にそれらが一杯になったところで、あなたは「もう疲れた・・」という、まるで人生そのものに疲れ果ててしまったかのような言葉を吐く事になります。
或いはその時、何かがあなたに追い打ちをかけるかも知れません。
いつもはこんなところでコーヒーをこぼしたりしないのに、いつもはこんなところでお皿を落としたりはしないのに、いつもはこんな単純なミスなんてするわけがないのに・・・自分のした初歩的なミスに愕然として、あなたは初めて自分の中に溜まりに溜まった疲労感を、認めることになります。
そして、心の中でこう呟くかも知れません。
「どうしてこうなっちゃったの」と。
しかしながら、そんな時のあなたは、自分に押し寄せた「疲労感の原因」を、一つ一つひも解いていく事なんて、とても出来ないでしょう。
なぜなら、疲れているのですから。
今、このような現代人が、あまりにも多いのではないでしょうか。
自分自身に目覚め始めたはずのあなたであっても、ふとした時にどっと疲労感が押し寄せて来てしまうのは、なぜなのでしょうか?
その経緯こそ、星の数ほど存在する様々なものですが、そのカラクリこそ、たったひとつの単純なものです。
それは―‥、
あなたが「やりたくないことをやっているから」。
あなたが言いようのない疲労感を創りだすことが出来るのは、「やりたくないこと」をやっているがゆえです。
疲労感は、その副産物です。
『やりたいことを、やる』時に出てくるエネルギーと、「やりたくないけど、しょうがないからやる」時に出てくるエネルギーとでは、そのエネルギーの源泉が全く違っていることに、あなたはどれほどハッキリ気づいていらっしゃるでしょうか?
それらのエネルギーは、発電方法も消費方法も、天と地ほどの違いがあります。
本来『やりたいことを、やる』ということは、エネルギーを“消費する”以上に、“生み出す”ことでもあります。
そうやって内側から満杯に満たされることで、あなたはあなたの周囲にも、惜しみなくエネルギーを与えていくことが出来ます。
あなたは今、どれだけ『やりたいこと』をやっているでしょうか?
“やるべき事”と『やりたいこと』は、どれほどかけ離れているでしょうか?
「やりたいことを実現するためには、まずはその手前でこれをやらなければならない‥」と思い込んでいる、その“やりたくない事”とは、一体どんな事でしょうか?
「責任があるから仕方ない‥」とか「避けられない事だから仕方ない」とか、そんなことは今は考えないでおいてください。
「やりたいか?やりたくないか?」、そんなシンプルな問いに、まずは素直に答えてみることが大切です。
「こんなこと、別にやりたいわけじゃない‥」
そんな正直な気持ちを、発見できるかも知れません。
「食器洗いなんてしたくない‥掃除も雑用もやりたくない」
そんな投げやりな気持ちを、発見できるかも知れません。
「でも、そんなこと言ってたら家の中がゴミ屋敷になっちゃうじゃない!」
などという心配は無用です。
自分が「ただそう思っている」という事実に、ハッキリと気付いてあげることが大切なのです。
安心して頂いて大丈夫なのです。
"食器洗い"という困難が原因で、あなたが疲労感に追い込まれているわけではありません。
"雑用"という困難が原因となって、あなたが打ちのめされている訳でもありません。
そもそも、あなたという生命は、食器洗いや雑用という困難を、困難とも思わず、「辛い」とか「辛くない」とか考えることすらせず、余裕しゃくしゃくでやりこなせるように設計されています。
あなたが『やりたいこと』を十分にやって生きているのであれば、あなたの人生に付随する"なんてことはない雑用"は、痛くもかゆくもありませんし、辛くも苦しくも何ともないはずなのです。
それが「苦痛」となってしまっている時、あなたは「食器洗い」という雑用に出くわすずっと以前から、もうすでに疲れ果てていました。
まずはそれを、客観的に知ってみましょう。
『やりたいこと』をやっていたはずなのに、いつの間にか疲れ切っていた・・・というあなたならば、自分がやりたいと信じ込んでいることの中に、あなたの小さな「やりたくないこと」が混ざっているはずです。
それを見つけてあげてください。
「これがやりたい!」と、純粋な気持ちで始めた事を、いつの間にか「やらなければならない使命」にすり替え、目標達成を強いているのは、誰なのでしょうか? そして、なぜなのでしょうか?
それに気付いてみてください。
あなたの『やりたいこと』が、無意識のどこかで「やらなきゃならない、やるべきこと」にすり替わった途端に、あなたの活動エネルギーの源泉は『生みだし型』から『枯渇型』へとシフトしてしまっています。
『生みだし、与える』のではなく、『ひたすら、すり減る』に、取って変わってしまっています。
そして、「なぁんだ、本当は私こんなこと別にやりたくなかったんだ‥!」という単純明快な気づきが得られたとき、あなたの疲労感は霧が晴れるかのようにスーッと引いていく・・・そんな不思議な爽快感を味わう事が出来るでしょう。
しかし、それが分かったからと言って、現実は続いていく‥
やりたいことばかりやって、十分なお金を稼げるわけじゃないし‥
人生、そんなに甘いものではないから‥
という思いが、湧き上がって来るかも知れません。
では、そんな『やりたいことを思い切りやりまくる』ことに挑戦する生き方を、あなたは十分納得いくまで満足いくまで試してみたことがあったのでしょうか?
ほとんどの人が、そんな挑戦に挑んでくることはありません。
やりたいことをやり続ける人生ではなく、やりたくないことをやり続ける人生、そんなあまりにもハードルの高い挑戦に挑み続けるチャレンジャーが、この社会には圧倒的に多いものです。
ほんの数日間だけなら、人は気持ちよく 「やりたいこと」 をやってのけられます。
ちょっとした旅、ちょっとした体験、特別なイベント、休暇中のスペシャルな時間・・
しかし、そんな「いつもとは違う贅沢な時間」が終わったなら、「再び現実に戻るんだ」ということが分かっています。
“変わらない日常”が、用意されていることを知っています。
なぜならそれは、「自分で自分に用意している日常」だからです。
「自分で設定している現実」だからです。
だからこそ自分自身の奥深くから、しみじみとよく分かっています、
「好きな事だけやって生きるのは所詮、無理である」と。
それは"自分の設定"に基づいた"自分の確信"なのだから、自分で壊さない限り、あなたの確信は揺らぐことはないでしょう。
そして、そんな”確信崩し”に、他人が積極的に協力してくれる事は、ほとんどありません。
そのような期待は持たないでおいた方が賢明です。
なぜなら皆、「やりたくない事をやり続ける」という難易度の高い挑戦に、足並みそろえて夢中になっているのですから。
人は皆、誰でも「やりたいことばかりをやり続ける人生なんて無理」という設定の中に、自ら飛び込んでいく自由が与えられています。
そして、自分の創った制限の世界を、生きていくことが出来ます。
であるならば、そんな初期設定を白紙に戻すことも、あなたであるならば自由に出来るわけです。
あなたが、自分に対する“いらない設定”をリセットすることを決めた時、あなたの知らなかった新しい選択肢は、思いもよらないギフトをたずさえ、ひょっこり顔を出し、あなたを驚かせる準備が出来ています。
あなたがもし、自分に与えられるプレゼントの中身を、毎回毎回、同じように予想できてしまったならば、あなたは徐々に、それが“ギフト”であることを忘れていくのではないでしょうか?
わたしたちは、毎日・毎瞬、この瞬間もギフトに囲まれ、奇跡に囲まれ、生きています。
奇跡とは“出来事”のことではなく、『それが起きていることに気づける心の動き』のことです。
与えられたものの中身が、開けてみるまで全く予想がつかずにあなたの心をワクワクさせた時、あなたはそれを思わず『ギフト!』と呼びたくなるのではないでしょうか。
見慣れたはずの景色が、なぜか新鮮に目に映る時、その美しさが『奇跡!』に思えてくるのではないでしょうか。
あなたが疲労感でいっぱいの時、そんなギフトや奇跡から、ちょっと遠い所まで来てしまったのかも知れません。
そんな時こそ、あなたの一番やりたいことをやってください。
どんなに小さく、どんなに些細なことであっても。
それが昼寝や散歩といった、あまり大したことではないように思えるものであっても。
“自分のやりたいこと”に対して、あなた自身が誠実になる時、あなたのエネルギーの源泉は、「枯渇型」から『生みだし型』へと、原点回帰していくことが出来るのです。
ですから、やりたいことをやりましょう。
やりたいことを、後回しにするのはやめましょう。
そして、「そんな事は分かり切っている」という繰り返される制約の世界から、『やってみながら体験する』という、未知にゆだねる現実へと、そろそろ移行してみませんか。
そこは、あなたが「好きな事・知ってる事」を、自ら選んで実行する喜びに加え、あなたが「まだ見ぬやりたい事・挑戦したい事」がギフトのように転がり込んでくる、“分からない現実”にワクワクさせられる新感覚の体験世界です。
そしてあなたは、“疲労感”という言葉を忘れることになるでしょう。
『やりたいことを、やる』
その際に、自然と生み出される爆発的なエネルギーの"余剰分"が、「全てのやるべき事」を難なくこなすための推進力となり、あなたの人生を楽々と動かし始めるのです。