お風呂場づくり~DIYレポート第一弾~
- Bio Sinfonia
- 2023年9月23日
- 読了時間: 8分
更新日:1月1日

わが家では、小さなものから大きなものまで、手作りのモノが色々あります。
小さいものだと、お箸やスプーン、大きいものだと、お家そのものまで。
「なんでそんなにDIYしてるの?」
という諸事情については、長い長い体験談になってしまうため、いつか別の機会にお話できればと思います。
今回は、そんなDIYの中でも、最も難易度の高い『お風呂場』についてのお話です。
『お風呂場づくり』と言っても、現代建築のお風呂場や、自然素材がメインで多少の化学物質を取り入れるお風呂場なら、いくらでも作りようがあるのですが、接着剤を使わず、コーキング材やシーリング材も一切使わないお風呂場というのは、「さすがに無理!」と言われてしまうようなハードルの高さです。
自分たちでDIYしようと思っても、頭を抱えてしまう難題だったので、地元の大工さんに必要最小限の化学物質を取り入れてもらう形で、外注することにしました。
化学物質の量を最小限におさえることができれば、たとえ完成後にすぐには入れないとしても、良ければ数カ月後、最悪でも1年くらいかけて化学物質を揮発させれば、いくら敏感体質の私でも使えるようになるはずだと思ったからです。
プロが作ったものなら長い目で見ても安心だろうし、自分たちで悩みながらコツコツやるより早いと思ったのです。
しかし‥!
そんな外注が、想像をはるかに超える大惨事を引き起こしてしまったのです。
大工さんが、
「絶対に使わないので、安心してください」
と、重ね重ねきっちり約束してくれていたものでさえ、使う使う・・必要最小限どころか、あれもこれも平気で使う・・
人間というのは、こんなにいとも簡単に嘘をつくのか!と愕然とさせられた出来事になりました。
どうやら、「見えない部分ならバレない」と思ったようです。
人体感知器である私は、目に見える・見えないなんて全く関係ありません。
衣食住を営むその場所で、フレッシュな有害物質を大量に使用されたなら、命にかかわるショック症状が出てしまいます。それはもう大惨事となりました。
そうして倒れたその日から、工事は中止にせざるを得ない状態になり、敷地内には、私の命を削る「作りかけの危険物の山」が残されました。
一度、危篤状態のようになってしまった私の体は、極限まで衰弱してしまいました。
そんなどん底状態から、日常生活ができるようにリハビリをして、少しずつ筋トレをして・・と、自分の精神力との厳しい闘いの日々が続きました。
最終的には、私のパートナーである夫が、有害物質の撤去作業をし、屋根・壁・天井、そして土台の半分以上を解体することで、数カ月後に徐々に敷地内を歩けるようになりました。
まさかの絶望的すぎる大事件でしたが、こうして生きていられることだけが救いで、学んだことを糧にして生きていくしかありません。
そして、ここからがまた、試練の日々です。
『お風呂・トイレ・キッチン・ワンルーム+小さなセッションスペース』
・・が、ババーンと出来上がるはずだったのが、代わりに残されたのは巨大な廃材の山ですから。
「こんなことになるんだったら、自分たちで難題に立ち向かっていた方が断然マシだったよ!」という状況です。
建築面から見ても、健康面から見ても、金銭面から見ても、ゼロからのスタートではなく、大きくマイナスからのスタートになってしまいました。
しかも、生きていくためには家づくりばかりやっているわけにもいきません。
仕事もしないといけないし、農作業もやらないといけないし、家事も雑用もやらないといけない・・、
すべてが同時進行のDIYの再スタートです。
「この同時進行が大変すぎるから、外注したはずだったんだけど!!(涙)」と悔やんでも、目の前にある現実は、前よりずっと大きくなって跳ね返ってきた難題の山です。
もはや、お風呂に関しては『野の地面』にバスタブを置くという、これ以上ないほどのシンプルなスタイルで行くことにしました。
はじめの頃はテントを立てて、その下にバスタブを置いていたのですが、ここは竜巻やヒョウに見舞われやすい土地だったので、すぐにボロボロになってしまい、諦めて野ざらし状態になりました。

肉体的にも精神的にも、「力なんて、なんにも残っていないかも(泣)」と圧倒されるほどに、すべてがゼロ以下に枯渇した状態から、立ち上がったスタート地点でした。
そんな再スタートの日から、丸4年が経ち・・あと3ヵ月もすれば、5年を迎えます。
実際のところは、お風呂問題に苦労していたのは、10年単位でもっと昔からなので、古いエピソードを含めると、様々な凄まじい話が連なってくるのですが・・・
なんと、そんな日々が、ようやく終わりを迎えたのです。
マイナス状態から手作りしたお風呂場が、ほぼ完成しました!

材料は、木材と金属の組み合わせです。コーキング材やシーリング材も使わず、接着剤やボンド等の使用もゼロで、使ったのは釘とビスのみです。
ベースは木材で、防水対策としては屋根材に使う昔ながらのトタンを手作業で折り曲げ加工して、壁に転用しました。
シャワーはまだ使える状態でなく、一部未完成な部分もありますが、「そんなことはどうでもいい!」と思えるくらい、ただただ雨風の当たらない屋内でお風呂に入れることが【感動】という言葉では表せないくらい、感無量でした。
屋根と壁に包まれているという、とてつもない安心感。
ですが、入った初日は、これまで苦労してきた日々が走馬灯のように脳裏に蘇ってきました。
春夏秋冬、屋根なし&壁なしのお風呂は、かなり根性を鍛えられ、ある意味よい経験になりました。
なんというか、フツーーーにすごく辛かったです。
きっと、純粋に【野に風呂というスタイルが辛い】というより、
人に裏切られ、騙され、
死にそうになって、
心もズタズタに傷ついて、
ここにはちょっと書けないくらい大切なものを数多く失ってしまった中、
毎日が切羽詰まって、
そんな時にホッとしたいはずのお風呂が「あぁ、これかい・・」という、
そんな状況に対して、心が「もう限界!」と叫びたくなる瞬間、『辛い』という気持ちが幾度も幾度も波のように押し寄せて来たのだと思います。
でも。
暗い森の中、夜空にきらめく星はあまりにも綺麗で。
闇の中の月は、いつも圧倒的な存在感で。
真冬になれば、歯がガタガタするくらい寒くて。
夜の雨はとても冷たく、お風呂上がりに泥ハネで足が汚れる。
お風呂なのに、どこかしらリラックスどころじゃない。
夏は「蚊の海」になり、ふと見れば横にカエルとかがいる。
ただ見渡すだけで、
星。月。美しい闇。
すべてが素晴らしかった。
夜はいつも美しく、自分の中のいらないものを洗い流してくれる何かがありました。
いらないものが洗い流されると、それだけで本来の自分自身そのものが蘇ってきます。
そんな闇に包まれた、厳しくて厳しい風呂生活も、ついに終わったのです。
それらの日々にピリオドが打たれ、屋根と壁に守られた快適なお風呂にゆっくり入れるという‥!
でも、入った初日は、これまでの日々との両極端なギャップの中で、私の中で何かが大きく揺れ動き、涙があふれました。
あまりにも大きくて確かに存在する感動の中、「でも、決して忘れてはいけないよ」と静かに語りかけてくる、大切な何かがありました。
厳しい日々が終わってみて初めて、それがいかに貴重な体験だったか?が、ようやく分かってくるものです。
そして、状況が変われば、また新しい発見もあります。
室内のお風呂に入って驚いたことの一つは、「電気が明るい‥!」ということ。
屋内で入ると、「夜なのにこんなに明るい!」ということに驚いた。笑
写真の電灯は、LEDではない昔ながらのレトロな電灯です。

私の体質は、「LED電球」の光線やノイズに強い苦痛を感じてしまうため、どうしても昔ながらの防水電灯が必要でした。こちらは、ようやく見つけた会社さんの逸品です。
電気をつけると、それはそれは美しい幾何学模様が広がります!
でも、、
今までが真っ暗闇だっただけに、、このフツーの明るさが明るすぎて・・・
けっこう月日が経った今でも、電気をつけないまま入ってます。笑
昭和の貴重な逸品は、電気をつけてもつけなくても、とても素晴らしいところが気に入っています。
こちらの会社さんは、私のような個人でも受注生産で一個ずつ作ってくれて、お値段は信じられないような卸値価格で請け負ってくれるのに、品質は最高でした。
届いた時は、「自分のために作られた一個」という重みに感動しました。
お家作りを考えていらっしゃる方は、LEDを選ぶ前に、ぜひこちらの会社さんの素敵な電灯たちを検討してみて欲しい!と思い、ご紹介しようと思っていたのですが・・・
なんと私が購入した数か月後に「諸般の事情により照明器具製造からの撤退を決定いたしました」という発表をHP上でされていました・・えぇぇ~~超ショック!(涙)
よい会社さんが生き残れる居場所がどんどんなくなる一方で、心身の健康に悪影響を及ぼす事業ばかりが伸びていく社会。
ものを選び、購入する私たちの選択の力は、どこまで時代にあらがうことができるのでしょうか?
悔しすぎて残念すぎることも多い社会ですが、ひとりの個人として、時代に流されず、流行りにも流されず、【自分の選択】を大切に生きていくことは、気持ち次第でまだまだやれるように思います。

続きとなる「第二弾」では、お風呂の床のタイル貼りについて、書いてみたいと思います!(写真は、途中の様子)
今日もお読みいただき、ありがとうございました!

Bio Sinfoniaの翻訳活動や記事投稿は、このような厳しい状況下で行われてきました。今後も続けていけるよう、ぜひショップも覗いてみて頂けたら嬉しいです!