ファッションにおけるポストハーベスト【vol.3】
- Bio Sinfonia
- 2015年1月22日
- 読了時間: 4分

StartFragmentコートやセーターが活躍する季節になると、店頭の目立つところに『防虫剤』が並ぶようになります。 防虫剤は、私たちの身近にある「家庭用農薬」の一つです。 『衣類の防虫剤を使う』 ということは、つまり『自分の体じゅうに、農薬を振りかけること』です。 それは、
寝ている時も、起きている時も、食べている時も・・・ 「空気と一緒に、殺虫成分を呼吸すること」を意味します。 防虫剤は、たった一回使っただけでも、服の繊維にしっかりと成分が絡みつくので、 お洗濯を繰り返しても落ちなくなるほどの威力を持っていますが、 衣類だけでなく「クローゼットそのもの」にも殺虫成分が沈着していくので、 後から入れる服も、自動的に農薬づけになってしまうというわけです。 そして、そんな服を着て生活するだけで、無意識のうちに 周囲にも農薬を振りまく結果となってしまうのです。 そもそも、こうした薬剤の歴史を辿れば、
『戦争』の化学兵器の研究と、切っても切り離せないものであることが分かります。 「“わたしのモノ”を脅かす恐れのある存在は、念のため、先に殺しておこう」 この理念を生かした日用品の開発が、 さまざまな「家庭用農薬の販売」へと派生していきました。 確かに、もしも大切なお洋服に穴があいたなら、 虫に敵意が湧いてしまうのも、もっともです。 けれども、虫が食べるのにも、それなりの理由があります。 ■その引き出しは、どれくらいの間、開けていませんでしたか? ■その服は、どれくらいの間、袖を通していなかったでしょう? ■ 「たった一回サっと着たくらいだから…」と、洗わずにしまい込んだりしませんでしたか?
わずかな皮脂汚れや、小さな食べこぼしがはねた跡でも、虫にとってはご馳走になってしまいます。 どの服も、しまいっぱなしにしないで、袖を通し、風を通し、 光にあてて可愛がってあげましょう。 なんといっても、大切な服を「ただ着る」だけで、『手入れ』になるのです。 ときどき袖を通しては、普通に洗濯するだけで、
現代日本のしっかりとした住環境ならば、ほとんど虫は食いません。(※注1)
けれども、こうした基本的なことさえやる余裕がないとしたら・・
心も体も疲れすぎているか、
或いは、必要以上に多くのモノを持ちすぎているか、しかるべき理由があるのかも知れません。 そもそも、人が「衣類の農薬」にまで頼ってしまうのは、 “物質的に恵まれ過ぎているから”でもあります。 一時の流行で買ってみたものの、ほとんど着ないで飽きてしまった服や、 この先着るのかどうか分からない服が、タンスの中にどれほど眠っているでしょうか? 流行というのは、当然のことながら色あせます。 色あせると、興味を失い、別に見ようとも思わなくなります。 それでもどうか、自分の選んだ服を、薬品まかせにせず、 自分自身で目をかけてあげてください。 そうやって「目」という光を当てているうちに、 『自分の選んだものが、一体どんなものだったのか?』が分かってきます。 観察し、発見し、学習する機会に恵まれていくと、そんなあなたの「人間性」が、 やがてあなたのファッションに反映されていきます。 そして、それが「あなたらしさ」をつくっていきます。 移り変わる流行を、楽しむ気持ちも肯定し、 一枚の同じ服を、長く着続けることを慈しみ、 穴があいた時は、すこしばかり手をかけて、 「新しいデザイン」や「別の用途」をクリエイトする・・ その全てを楽しめる時、あなたのファッションは、「あなたの人間性の延長」となり、 うわべでもない、イヤミでもない、なんとも言えない素敵なバランスで、そこにあなたが表現されます。 あなたの体を農薬づけにする前に、そんなファッションの素敵な醍醐味と出会ってみてはいかがでしょうか。 (※注1)・・・きちんと掃除や洗濯、袖通しをしているのにも関わらず、やたらと虫に食われるのだとしたら“家自体”や“建てもの全体”に、根本的な問題がある可能性が高いと思われます。 ----No.3 「ファッションにおけるポストハーベスト」 長文をお読みくださり、心より感謝します。 ありがとうございます。 -- love&gratitude---
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