相対性の中のあなた~relativity~
- Bio Sinfonia
- 2015年1月22日
- 読了時間: 5分
更新日:2月5日

茨城県には、筑波山という高い山があります。
その高さは、県内一です。
しかし、県内一の筑波山でも、 日本一の富士山と比べたら、「低い山」と言えます。
そして、そんな富士山でも、 世界一のエベレストと比べてみれば、「低い山」と表現できます。
比べることによって、同じものでも「高く」もなれば、「低く」もなります。
「大きく」もなれば、「小さく」もなります。
「危険」にもなれば、「安全」にもなります。
このように、ものごとを“対比して”とらえる概念を、「相対性」といいます。
この「相対性」をうまく利用すれば、物事はどんな風にでも言い変えることができてしまいます。
たとえば、【原発は、CO2を出さない地球にやさしい発電です】というテレビCM。
これは、「様々な発電方法と比べて、地球にやさしい」という意味ではなく、「石油や石炭に比べたら、地球にやさしい点もある」という、独断と偏見のような意味での【やさしい】という表現でした。
しかも、「CO2を出さない」という表現も、「原料の採掘から~放射性廃棄物の処分まで」の全過程でCO2を出さないという意味ではなく、「発電時の一過程において、CO2を出さないタイミングがある」という意味での【出さない】でした。
このように、【限定的な切り口】から物事を見ていけば、なんであってもいくらでも「やさしい」という表現が出来てしまうのです。
人の心理を納得させる『ほんの一部分』を切り取って、「相対性」というデコレーションをほどこせば、広告でも、政策でも、いち個人の意見でも・・どんなものでも【正論】に化けることが可能です。
前回の記事では、ヘリコプターによる稲への薬剤散布が、時代とともに「有機リン系」から「ネオニコチノイド系」にシフトしたという内容に触れました。
この「ネオニコチノイド系農薬」は、都会に住んでいようと田舎に住んでいようと、日本人なら誰もが避けようのない、無味無臭の物質です。
地球の生態系、および人体に、計り知れない影響をもたらすものと分かっている中、今年も日本全国で「自然にやさしい農薬です」との注釈つきで、大量に使用されてしまいました。
近年では「ネオニコチノイド」と聞くと、多くの人が危険をイメージするようになってきましたが、
私たちは「自然にやさしい農薬」と聞いて、それが「=ネオニコチノイド系である」とは、なかなか繋がらないのではないでしょうか?
日ごろ、ネオニコチノイドに反対の声をあげている主婦が、わざわざ宅配便でネオニコ野菜を定期購入してしまう・・・
というケースが多いのは、この「自然にやさしい」という言葉を、素直に受け取ってしまうからです。
国が「自然にやさしい」と謳っているからこそ、大手の野菜宅配業者も「わが社では、食の安全を考え、自然にやさしい農薬を使っています」と、堂々とアピールします。
このように、相対性を利用すれば、どんな危険なものでも、「自然にやさしい」「地球にやさしい」と表現することが出来てしまうのです。

こうした表現のテクニックは、私たちが自覚している以上に、至るところで使われています。
「情報に踊らされないように」と、片っぱしから疑ってかかることも出来ますが、それよりも効果的な方法は・・・
「自分が感じていることを、感じてみる」ということ。
これは簡単なようで、たいへん奥が深いことです。
誰もが当たり前にやっているようで、実はなかなかやれていないことでもあります。
なぜなら、私たちの感受性にちりばめられた【惰性】の中には、「感じていることに、気づけない」 「忙しさのあまり、感じていることを見過ごす」「微細な感覚にはフタをする」・・ などの特性が隠されているからです。
まずは何より、自分自身の【フィーリングの存在】に、心を開いてみてください。
そして、自分のフィーリングに気づいたなら、ぜひともそれを信頼してあげてください。
自分のフィーリングを信頼した上で、「YES」と感じるのなら、受け入れましょう。
もし「不安だな」と感じるのなら、取り入れるのはやめておきましょう。
なぜなら、物理的要素に関わらず、「恐れ」や「不安」のエネルギーが心身を蝕んでしまうからです。
もし「わからない…!」と分かったのなら、「どうすれば分かるのか?」を、もう少し先まで考えてみましょう。
「あれ?自分って意外と何も分からないんだな‥」と分かったなら、それはたいへん素晴らしい収穫です。好奇心や、学ぶ意欲が高まっていくかも知れません。
そんな風に、自分自身の【純粋なフィーリング】を糸口にして 辿り着いた『自分なりの答え』は、必ずと言っていいほど、 あなたに豊かさをもたらしてくれます。
それは、「幸せ」かも知れないし、「健康」かも知れないし、「知恵」や「賢さ」かも知れません。
あなたのフィーリングは、あなたに合ったベストな方法と、タイミングで、正論にも勝る『あなたにとっての回答』を連れてきてくれます。
社会的な物差しや、他人の尺度が、幸せをもたらしてくれるとは限らないからこそ、時には立ち止まって、あなたのフィーリングを感じられる『心のスペース』を、自分自身に与えてあげてください。

一息ついて、自分の心にフォーカスしてあげてくださいね。
あなたが自分自身のフィーリングに敏感である限り、それが何より信頼できる、あなたの羅針盤になります。
長文をお読みくださり、心より感謝します。
ありがとうございます。
Bio Sinfonia