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  • 執筆者の写真Bio Sinfonia

《緊急》農薬落とせますって本当?詐欺や思い込みに注意!



「この商品で、本当に農薬が落とせますか?」

「こういう商品を見たのですが、どうでしょう?」


と、そんな質問を、複数の方から頂いたので、今日は急遽こちらに回答をアップしたいと思います。


「農薬が落とせる」と謳う商品は、昔から色々なものが販売されてきましたが、今回の商品はかなり高額みたいなので、どうぞお気を付けください。


ご質問を頂いたのは、こちらの動画のモノに関してです↓



元気みなぎる健康体の方なら、こういう商品を買ってしまっても問題はないかも知れません。


しかし、もしも「本物の化学物質過敏症」の方が、藁にもすがる思いでこのような商品を買ってしまうと、たいへん痛い目を見る可能性があります。


お金を失うだけでなく、「これできっと大丈夫なはず‥」と思って使用して、逆に痙攣を起こしたり発作を起こしたりすると、とても苦しむだけでなく、重度の方ですと命取りになることもあるかも知れません。


ですので、日ごろから実際の症状が出てしまう敏感体質の方は、くれぐれもお気をつけください。


では今回は、ご質問いただいた商品を、ひとつの ケース・スタディとし、「どうしてこのような商品が詐欺的なのか?」について考察していきたいと思います。


※ただし、これはリアルな死活問題として『真の健康』を気使っている方への情報となります。

「気持ちの問題だから、実際には農薬が落ちてなくていい」と思う方への情報ではないので、あらかじめご了承ください。



まず、一口に『農薬』といっても、さまざまな種類の、数多くの農薬があります。


タイプ別に分類されたくくりで言えば、「ネオニコチノイド系」、「フェニピラゾール系」、「有機リン系」、「ピレスロイド系」、「カルバメート系」・・等々のように、「系」で分けられます。


また、「除草剤」や、さまざまな「化学肥料」など、作物に残留している有害物質には、ほかにも気になるモノもありますね。



そして、今回の動画でご紹介されていた商品は、これらの様々な農薬類の中の、一つのくくりである、「有機リン系農薬」の中の一種類、「ダイアジノンというタイプの農薬が落とせますよ‥とのことでした。


実際に、商品のサイトに飛んでみると、「分析試験の成績書」というものが見れて、そこに書いてあります。


(韓国の研究院だそうですが、韓国語でなく日本語で書いてくれるんですね。お願いすればそのように書いてくれるのでしょうか?)




さて、困ったことに、動画の中では「残留農薬を100%除去できる」とハッキリ明言されていますね。


私も正直、見てみて絶句してしまいましたし、とても驚いたのですが、「農薬を100%除去できる洗浄機です」と連呼していますし、テロップにもその通りに書いてあります。



これが、もし詐欺でないとしたら・・・


悪気のない、結果的な詐欺‥?・・とかでしょうか?


そのあたりの意図は分かりかねますが、農薬によって重篤な症状が実際に出てしまう方のために、ひとまず説明させていただくことに全力を尽くしますね。


さて、「100%除去できる」と明言された、その農薬。


そもそも『農薬』って、日本ではどれくらいの種類があるか、ご存知ですか?


なるべく新しい情報を提示したいと思い、現在手に入る限りの最新の情報を調べてみたところ・・・


・2020年2月の時点で、「農薬登録数」は『4263件』。

・2022年4月の時点で、「登録有効成分」の数は、『約500種類』。


とのことが分かります。



※さらに詳しい最新情報は、以下のページで登録農薬の情報が見れますが、こちらの行政法人は、情報の転載を禁じてらっしゃいますので、残念ながらここに載せられませんm(_ _)m。ご興味があれば各自で調査していただけます↓




まとめますと。


登録されている農薬は数千種類もあり、有効成分は500種類以上もあるわけです。


それでは、そんな農薬全体の中の「ダイアジノン」を俯瞰してみましょう。


※「ダイアジノン」というのは、農薬の商品名でもあり、また同時に有効成分名でもあります。


以下のスクリーンショットは、「登録農薬・有効成分一覧」のページの”一部”です。


500種類以上もある成分の全てを転載するのは、なかなかの苦行だったので、一部のみを転載させていただきますが、以下は「ア行~タ行」までの農薬成分になります。


赤線を引いたところに「ダイアジノン」と書いてありますので、『農薬全体の中の、ダイアジノン』という縮図をイメージしてみてください。

※「農薬インデックス」様のサイトより。



文字が小さすぎるので、アップしますね↓


見えたでしょうか?


このように農薬って、とてもたくさんあるんです。


上記は、「タ行」の途中までなので、全体の半分も表記できていません。


これの倍以上もの農薬成分があるわけですが、あとはイメージでカバーして頂ければ!と思います。


というわけで、今回の商品は、「こんなに沢山ある農薬うちの、たった一つの成分について、韓国の研究院にて成績表が出されましたよ」、というものだったわけですね。


なので、「農薬を100%除去できる」と明言するのではなく、


『数千種類の登録農薬、500種類以上もある農薬成分のうちの1つ、”ダイアジノン”が除去できたという、韓国の証明書があります』


・・という風に、正確に説明して頂けると、間違った思い込みを招かなくて済んだかも知れないですね。


ただし、商品の説明サイトの方をくまなく見ていくと、至る所にヒントは書かれていますので、「よく読んでいない方が悪い」「勝手に誤解した方に過失がある」と言われてしまえば、それまでかもしれないです。


商品説明のところには、こんな風に書いてあります↓




そういうわけなので、


「私がいつも買う野菜に使われているのは、毎回ダイアジノンのみよ!」


という、人智を超えた奇跡を引き寄せながら生きる人にとっては、確かに希望があるのではないでしょうか。


しかし、そうではない人にとっては、なかなか『100%落とす』という偉業を果たすのは、むずかしいかも知れませんね。


そして、たとえ上記の成績書の通りに「ダイアジノン」が除去できたとしても、もちろん、すべての農薬が除去できるわけではありません。


実際に、不可能なのです。


なぜなら現在、特によく使われている農薬は「ネオニコチノイド系」ですが、これは野菜の表面を洗ったところで全く落ちない農薬なのです。


細胞の中まで農薬が浸透しているので、「落とす」ということが不可能です。


だからこそ、この真の意味を真剣に理解しながら頑張って農業をやってらっしゃる農家さんから野菜を購入したり、自分で畑をトライしようと生き方全体を見直してみたりすることが、本質的に非常に大切なことになるはずです。


真の意味で『環境を守る』ということは、手品のように見える商品を免罪符にして、農薬社会を固定し続けることではないはずです。


自分が食べているものに本当に興味を持ち、良い作物をがんばって作っている農家さんたちに興味を持ち、そして「いずれ自分も畑に関われないだろうか?」と思い描いたり、あるいは「無農薬やオーガニックは高くて買えない」という誤った概念や不思議な価値観を、いい意味でどんどん崩壊させていくことだと思います。


私たちの金銭感覚は、無駄なものに高額を払うことはいとわない一方で、野菜のような貴重なものに対して正当な金額を払うのを嫌がるという、歪んだ金銭感覚を植え付けられてきたと思います。



「ネオニコチノイド系農薬」は、本のタイトルなどの影響か、今でも「新しい農薬」だと言われたりする時もありますが、1990年代から使われている農薬なので、もうかれこれ長いこと使われています。


ネオニコ系農薬は、それ以前にメインで使われていた「有機リン系農薬」の危険性を払拭するかのようなイメージを引っ下げて登場し、「安全な農薬」や「自然に優しい農薬」というキャッチフレーズと共に台頭してきた農薬ですが、この農薬は、葉からも根からも農薬成分を吸収してしまい、細胞のすみずみに農薬が行き渡るような、どうしようもない仕組みになっています。


これで、ミツバチや赤トンボがだいぶ消えてしまったのは、知っての通りです。


(生き物が消えるくらいの毒性の農薬を、人間が長らく摂取し続けたらどうなるのか?というのを、ぜひ想像してみてください。)


そして今の時代、このネオニコ系の作物が、かなり多くを占めていますので、表面をいくら洗っても落ちるようなものではありません。細胞の内側から農薬がしみ込んだ「農薬の金太郎飴」状態を、作り出すものです。


★こちらのPDFがイラスト付きで分かりやすいです。



そして、もう一つ、どうしても伝えておかなければいけないと思うことは、ブロッコリーを例にした実験ですね。


【ブロッコリーが「水をはじく」ことが農薬がついている証明で、洗浄後に水を吸収するようになったことが、農薬が落ちた証拠】であるかのように語っていますが、これはさすがにちょっと待ってください!と思う点です。



もともと、ブロッコリーって、めちゃめちゃ水をはじく野菜なんです。


私自身も、生きるために山あいの農地を取得し、無農・無化学肥料でブロッコリーを育てて何回も収穫してきましたが、ブロッコリーさんが水をはじく力には、いつも感心させれます。


そしてこれが、ブロッコリーの持つ「栄養素そのもの」なのです。


外敵から身を守るために、彼らが自ら分泌する成分が、私たちがそのお野菜をいただく時の栄養素になるのです。


うまく育たなかったブロッコリーなどは、外敵から身を守る力も弱く、美味しくなくて、この水をはじく力も弱い、というのが私が自分でブロッコリーを育ててみての感想です。


(とはいえ、私も植物の科学論文などを読んだことはなく、自分の実践を通しての体験だったので、念のために今回調べてみましたが、植物学者も同意見でした。それから以下の記事も素敵でした!おススメですので、ぜひ読んでみてくださいね👇)


畑の土を改良し、土地の状態が良くなってくると、元気なブロッコリーが育つようになりますが、無農薬・無化学肥料のブロッコリーは、とてもよく水をはじきますよ!


リンゴのワックスが天然の油分であるという話は有名かも知れないですが、野菜でも水をはじくものは、本当にたくさんあります。自分で無農薬で野菜を育ててみればよく分かりますので、実際に確かめたい方は、ぜひやってみてくださいね。


そして、そんなブロッコリーの「栄養成分」そのものを落としてしまって、「農薬が落ちた証拠」とするのは、あまりにも雑な論調なのではないでしょうか。


水をはじくのは、『野菜そのものの特性』ですので、その特性や成分を破壊したからといって、イコール、それが安全な証拠にはなりません。


そういう意味では、上記の実証実験は、なんの実証にもなっていなかったですね。


また、野菜が水をはじく力や栄養成分が、「危険で体によくないもの」というイメージが刷り込まれてしまうのも、よくないですね。


人体に有害なのは、あくまで農薬であって、ブロッコリーの栄養成分ではないのですから、視聴者がそこを混同してしまうようなデモンストレーションになっているのが、とても残念です。



そして最後に。とどめとして、もう一つ。


とても気を付けて頂きたい大事なことがあります。


化学物質過敏症や、体質が敏感な方、デトックス中の方には、注意して頂きたい大事なことです。


それは、「減農薬」についてです。


以下の動画では、「なるべく選ぶようにすると良いもの」の一つとして、減農薬をおすすめされていましたね。



ところが、「減農薬」とのお墨付きがついたものこそ、まさしく洗っても落ちない「ネオニコチノイド系農薬」が使われた作物であることを、ほぼ意味しています。


「減農薬」と聞くと、とても耳障りがよく、「農薬が減ってるんでしょ?」と単純に思われるかも知れませんが、肝心なことは、「一体なにを、“減” したのか?」ということです。


この『減』という意味は、「毒が減った」という意味での『減』ではないのです。


むしろ、体質によっては、減農薬でないお野菜よりも激しい症状が出てしまう人もいます。

(なので化学物質過敏症の人は、くれぐれもご注意ください)


この「減農薬」というのは、「何を “減” したのか?」というと、『農薬をまく回数を減らした』という意味なんです。


なぜ、農薬をまく回数を減らせるのか?


というと、「それまでよりも強い毒性の農薬に変えたので、まく回数が少なくてよくなりましたよ」というのが事実上の意味というわけなのです。


だから、「安全かどうか?」は、まったく別問題なのです。


まく回数を ”減らせる” 野菜、それが食べる人にとって毒性が ”減っている”のか?といえば、まったく別の話です。


私自身、重度の化学物質過敏症だった頃は、このカラクリがまったく分からず、無農薬野菜が手に入らなくて、身近な「減農薬野菜」に手を出すたびに、信じられないような発作が起きたり、痙攣が起きたりして、それはそれは大惨事になりました。


なぜ?どうして?(T_T)?

なんで「減農薬」に手を出した時だけ、ここまでの発作や大惨事に・・?

テキトーな野菜を選んだって、ここまで酷くはならんでしょ(T_T)?


という謎が謎すぎて、また命の削られ具合が半端なさ過ぎて、必死で『減農薬の仕組み』について調べたところ、その実情が分かったというわけです。


ただし、十数年前に「減農薬」という言葉自体がブームになった頃は、とにかく色々な方が減農薬ラベルを貼りまくり、小さな直売所などでも手作りシールのようなラベルが見られ、「竹炭を使って農薬を減らしました」等をアピールする、レアなケースもごくごくまれにあり得ましたので、全否定はしませんが、通常のスーパーなどの「減農薬」と言えば、「ネオニコ野菜」のことを指しているはずです。


なので、どうしても気になる買ってみたい減農薬野菜があれば、その農家の方に直接問い合わせてみて、「どのような減農薬の方法なのか?」や「何の種類の農薬を使っているのか?」を具体的に問い合わせてみるのがいいかと思います。


そして、この「減農薬」という言葉および表示ですが、実はすでに廃止になっています。


なので、現在では、「減農薬」という表示は存在しません。


その代わりに、「減農薬であることを彷彿とさせるようなラベル」などが貼られていると思います。


たとえば、ある大手スーパーでは「減の恵み」などのシリーズ名となっていますね。


「あぁ、これは減農薬野菜なんだろうな」と、消費者がなんとな~くイメージするようなラベル表示になっていますよね。


そういう典型的な減農薬は、「ほとんど存在しないレアケース」の方ではなく、普通に典型的な「ネオニコ系」だと考えていただければ、分かりやすいかと思います。


この点、敏感体質の方は、本当に気を付けて頂ければと思います。



以上、長くなりましたが、今回のケース・スタディでした!


本当は、他にもツッコミどころはありそうですが(検査方法など..)、とりあえずこれだけ分かれば、他の商品に出会った時も、知識を応用できるのでは!と思います。


「農薬を落とせる」という商品についは、私が日々クライアントさんから受ける疑問・質問の中でも、最もポピュラーなものです。通常は、ご予約セッションのQ&Aなどでお伝えしてきた内容でしたが、今日はよい機会かなと思い、思い切ってまとめてみました。


今回述べたような基礎知識を頭に入れておいていただければ、他の商品について見極める時も、「どうなのか?」ということは、自分でも十分に検討できるようになると思います。


中には、検査報告のようなものを一切提示せずに「落とせる」として販売しているものもありますよね。


過去には、赤いマニキュアをした女性が、赤いトマトを洗って、水が赤くなったので「農薬が落ちた証拠」として売られているものもありました。


元気一杯の健康体の方なら、買ったとしても何ら問題ないかも知れませんが、本当に症状が出てしまう敏感体質の方にとっては、実はとても深刻な問題なのです。


手品のような動画を見ていると、まるで全ての農薬が落ちるかのような神話に思えてしまって、「すご~い!欲しい~!」とハイテンションになってしまうかも知れませんよね。


だからこそ、このような情報は、体の弱い方にとっては本当に酷なものがあります。


特に化学物質過敏症の方は、毎回オーガニック野菜を買うのが負担になるからと、思い切ってこういう大きな買い物をしようかな?と思われる方もいらっしゃると思います。


農薬を「落とせる・落とせない」問題もしかりですが、ケミカルなものに体が敏感に反応する方にとっては、まずこのプラスチックの容器を普通に使えるようになるまでに、けっこう時間がかかる可能性も高いです。


「本物の化学物質過敏症」の方は、新品の家電を家の中に入れて使えるようになるまで、数カ月~数年かかる場合もあります。製造時に使用された有機溶剤などに反応してしまうため、まずこういった「商品自体」を洗ったり拭いたりするだけで、苦労されて疲れ果てるケースが多いです。


また、LEDの電磁波が苦手で、そういったものを避けている方にとっても、生活にまたひとつLED関連の電化製品が増えることは、体にとってストレスになるかもしれません。


体に何の問題もない元気一杯な方であれば、「買いたければ買う」で、それでいいのでしょうけれど、もろもろ分かった上で買うならば、自分自身の選択にさらに自信が持てますよね。


以上、ご参考になれば幸いです。


今日も、お読みいただきありがとうございました。


===【追記】===


健康体の方に対して、何かアドバイスできることがあるとすれば・・


◆りんごは普通に皮をむいておいしく食べましょう。

◆みかんやアボカドなども普通に皮をむいておいしく食べましょう。

◆健康な方でも「減農薬」には気を付けましょう。

◆オーガニックもぜひ時々トライしてみて!おいしいですよ。



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